親権・親子交流(面会交流)
親 権
2026年4月より、離婚後の親権制度が新しくなりました。
これまで、どちらか一方が親権者になる「単独親権」しか選べなかった日本でも、父母の合意や裁判所の判断によって二人で親権を持つ「共同親権」という選択が可能になっています。

親権とは「子どもを守り、育てる責務」
親権とは、未成年の子の身の回りの世話や教育(身上監護)、財産管理などを行う権利であり、義務です。
法改正により、親は「子の人格を尊重し、健全な発達を図る責務」があることがより明確にされました。
たとえ離婚して親権者でなくなったとしても、親としての扶養義務(養育費の支払いなど)や、子の利益のために父母が協力し合う責務は変わりません。
親権者の決め方「共同親権か、単独親権か」
離婚時、まずは父母の話し合い(協議や調停)によって、「共同親権」にするか「単独親権」にするかを決めることができます。裁判所が判断する場合の基準
話し合いがまとまらず訴訟になった場合、裁判所が「子の利益」を最優先に考慮して判断します。
法律上、どちらかが原則という決まりはありませんが、以下のケースでは必ず「単独親権」としなければならないと定められています(民法819条7項)。
【必ず単独親権となるケース】
子への害悪: 親が子を虐待しているなど、心身に害を及ぼす恐れがある場合
DV・父母の共同親権が困難: DV(身体的DVだけでなく、精神的・経済的・性的DVも含まれます。)や父母の共同親権が困難な場合
その他: 父母を双方親権者とすることが、子の利益を害する場合
共同親権の場合の「親権の行使」のルール
「共同親権になると、すべてのことを二人で話し合わないといけないの?」という不安の声もあります。
そもそも話し合いができないから離婚する夫婦も多い中、共同親権に不安の声があがるのは当然といえます。
共同親権でも、日常の行為や急迫の事情がある場合は、単独で行使することができるとされています。
-
共同で行うべきこと
-
身上監護の重大行為: 子の転居、進学先、重大な医療行為の決定など
-
財産管理: 子名義の口座開設、子に債務を負担させる契約、子の財産処分
- 身分行為の代理行為:子の氏の変更等の代理
-
-
単独でできること
-
日常の行為: 日々の食事、衣類、習い事、旅行、アルバイト、重大でない医療行為の決定など
-
急迫の事情: 緊急の手術が必要な場合や、DVや虐待から避難(子どもの転居を含む)する場合、入学手続きの期限が迫っている場合など、相手の同意や家庭裁判所の手続を待っていては子の利益を損なう場合
-
単独親権となった場合
一方が単独親権者となった場合、その親が子の身上監護や財産管理を全面的に決定します。
親権を持たない親は、決定権こそありませんが、子との親子交流(面会交流)や、親としての養育費支払義務などは継続します。
親権に関する弁護士のサポート

共同親権か単独親権か、単独親権の場合、親権をどちらがもつかは、離婚後の生活に大きく関わります。
モラハラやDVに悩まされてきた女性にとって、安易な共同親権はリスクとなります。
当事務所では、状況を丁寧に伺い、適切な親権のかたちを主張し、子どもにとって最善の環境を確保できるようサポートします。
親子交流(面会交流)
離婚後、子どもを養育・監護していない親(非監護親)が、子どもに直接会ったり、それ以外の方法で交流したりすることを「親子交流」(旧称:面会交流)と言います。
親子交流は、別居中の親子の場合にも問題となります。

親子交流(面会交流)の制限は可能か?
非監護親がモラハラ加害者であったり、過去に暴力があったりする場合、無理な交流は子どもや監護親(一緒に暮らす親)に大きな負担を与えます。
親子交流(面会交流)が認められるかどうかの判断基準は、子の福祉(子どもの健全な成長)に合致するかどうかです。
親子交流を持つことで子どもに悪影響があるような場合には、交流が制限されることがあります。
モラルハラスメント(モラハラ)がある場合
モラルハラスメント(モラハラ)は、子どもに対しても深い精神的被害を与えます。
モラハラ加害者は、被害者の気持ちを理解できず、加害の自覚がないことが多いため、同じことを繰り返す傾向があります。
そのため、加害者が行為を反省せず、別居後、離婚後もモラハラを継続するおそれがある場合には、親子交流は制限されるべきでしょう。
しかし、子どもに対する虐待行為(身体的暴力、精神的暴力、性的暴力など)とは異なり、夫から妻への「モラハラ」(精神的暴力)の場合には、子どもへの影響が直接的でないため、親子交流を拒否する理由としては難しい類型となります。
また、審判の場でモラハラを客観的に証明することは困難な面もあり、モラハラのみを理由に親子交流が完全に否定されるケースは少ないのが現状です。
親子交流時の父母の接触等により、モラハラが継続する危険がある場合は、直接会うことを避け、第三者機関等の立会いを求めましょう。
暴力がある場合
子どもに対して虐待行為(身体的暴力、精神的暴力、性的暴力など)があり、子どもが非監護親を怖がっている場合には、親子交流の拒否が「正当」と認められることが多いといえます。
一方で、非監護親の監護親に対する暴力があったとしても、非監護親と子どもの心理的・情緒的つながりがあり、子も非監護親との交流を拒否していないということもあります。
したがって、親子交流を認めるかどうかの判断は、暴力の程度、子の年齢や発達の度合い、子と非監護親との精神的な交流等が慎重に考慮されます。
監護親が非監護親と接触等することによって、非監護親が暴力や威圧的、侮辱的言動に及ぶ恐れが高いときや、非監護親との接触により監護親に大きな精神的な悪影響等を与えるときには、親子交流を禁止、制限すべきと考えられます。
親子交流を実施する場合でも、第三者機関等の介入は必須といえるでしょう。
子どもを連れ去るおそれがある場合
別居中に連れ去りがあった場合や、連れ去りをしようとした行為(準備行為)があった場合には、連れ去りのおそれがあるとして、原則、面会交流は認められません。
連れ去りが子どもや監護親に与えた影響を真摯に反省し、裁判所の判断に従う意思を示すなど、連れ去りの危険がなくなると判断されるまでは、親子交流の実施は困難です。
裁判所の指示に従って子どもを返還した場合は、将来の連れ去りのおそれが少なくなったと認められることもありますが、監護親の不安が拭えない場合には、第三者機関の立ち会いが条件とされることもあります。
養育費を支払わない場合
「養育費の支払義務を果たさないのに、親子交流だけ求めるのは不当だ」と監護親が考えるのはもっともです。
しかし、「養育費の不払いが直ちに子どもに悪影響を及ぼすわけではない」として、親子交流が認められるのが現在の実務です。
養育費の未払いについては、強制執行などの回収手段が整備されていますので、親子交流の拒否ではなく、法的手段による養育費の回収をはかりましょう。
非監護親の不貞により離婚した場合
子どもが幼少でその意味を理解していない場合は、基本的には交流が認められます。
一方、子どもが小学生くらいになり、不貞の事実を理解して嫌悪感を抱いている場合には、直接的な交流が認められないことがあります。
不貞の事実を知った上で子どもが親子交流を望んでいるかどうかが判断に影響します。
非監護親に精神疾患がある場合
非監護親の精神障害等によって、子どもの安全が脅かされるおそれがある場合は認められません。
親子交流を行うとしても、監護親や第三者の立ち会いによる安全への配慮が不可欠となります。
親子交流(面会交流)に関する弁護士のサポート

さまざまな離婚理由により、親子交流に悩まれている方は多いと思います。
基本的には、子どもが「会いたい」と言えば、ルールを決めた上で実施してよいと考えます。
当事者同士での実施が難しい場合は、第三者機関の利用も検討しましょう。
反対に、過去の言動により子どもが強い嫌悪感を持っている場合は、写真の送付などの「間接交流」で様子を見るのがよいでしょう。
モラハラ夫は、子どもに執着して親権を主張したり、過度な親子面会を要求してくることがあります。
そのような場合には毅然とした対応が必要です。
相手から親子交流の調停を申し立てられた際、拒否し続けたり出席しなかったりすると、相手の言い分のみに基づいた審判が出される可能性もあるため注意が必要です。
あゐ法律事務所では、話し合いでの合意が難しい場合には、調停や審判での手続きもサポートしています。