女性のための離婚・モラハラ解決ナビ
2026/06/05

~モラハラ夫から避難したい~ 配偶者暴力相談支援センターの活用法

夫からの日常的な暴言や無視、生活費を渡さないといった「モラハラ(モラルハラスメント)」に苦しんでいませんか?
「殴られているわけではないから…」と我慢してしまう女性は少なくありませんが、精神的・経済的な追い詰めもDV(ドメスティック・バイオレンス)です。

そんなモラハラ被害に遭っている方に向けて、「配偶者暴力相談支援センター」の具体的な活用法と、避難時に役立つ情報を紹介します。

配偶者暴力相談支援センターとは?モラハラでも相談できる?

「配偶者暴力相談支援センター」とは、DV防止法に基づき、配偶者からの暴力の防止や被害者の保護を目的として各都道府県等に設置されている公的機関です。

すべての都道府県にこの名称の施設があるわけではなく、「女性相談支援センター」「女性サポートセンター」「男女共同参画センター」「保健所(健康福祉センター)」などがその役割を担っていることもあります。

どこへ連絡すればよいかわからない場合は、「#8008」に電話すると、発信地から最も近い地域の「配偶者暴力相談支援センター」に自動で転送されます。

「身体的な暴力がないモラハラでも相談していいの?」と悩む必要はありません。

繰り返される暴言、義務のない行為の強要、行動の監視、生活費を渡さないなどの精神的・経済的暴力も相談対象となります。

相談したことの「証明書」を取得する

配偶者暴力相談支援センター(以下「配暴センター」といいます)に相談すると、行政手続きのため、配偶者からのDVを訴えて相談したことの「証明書(または確認書など)」を発行してもらうことができます。

配暴センターが発行するこの証明書を行政機関の各窓口に提示することで、夫の関与なしで自分と子どもの生活を守る特例措置を受けることができます。

※配暴センターに相談したことの「証明書」は、あくまで行政手続きを特例で進めるための書類です。裁判や調停で「モラハラがあった事実」を直接証明する証拠にはなりませんので、離婚に向けた証拠集めは別途行う必要があります。

別居後の「証明書」活用法

では、配暴センターの証明書を使うことで、具体的にどのような手続きが可能になるのでしょうか。

別居・避難の際の代表的な3つの活用法をご紹介します。

1. 夫に新しい住所を知られない「住民票の閲覧制限(支援措置)」

別居のために家を出た後、恐ろしいのは夫に新しい住所(避難先)を知られてしまうことです。

通常、配偶者であればあなたの「住民票」や「戸籍の附票」を役所で取得することができます。

しかし、配暴センターに相談し被害の相談をしたうえで市区町村の窓口に「支援措置」を申し出ると、夫からの住民票や戸籍の附票の閲覧や交付請求をブロックすることができます。

2. 夫の同意なしで「被扶養者」から外れる

夫の社会保険の「扶養」に入っている場合、通常は夫の勤務先を通じて扶養から外す手続きをしてもらい、「資格喪失証明書」を発行してもらわなければ、妻は国民健康保険に加入できません。

別居後も、夫が離婚を拒否している場合など、夫が手続きをしてくれないケースは非常に多いです。そのまま保険証を使うと、「医療費通知(医療費のお知らせ)」によって、通院先が夫に通知される場合があります。

DVやモラハラによる避難の場合、年金事務所や健康保険組合に配暴センターの証明書を提出することで、夫を介さず(夫に連絡が行くこともなく)被扶養者から外してもらうことが可能です。これにより、自分と子どもの新しい健康保険証をスムーズに手に入れることができます。

💡妻が勤務先の社会保険に入る場合

別居後、パートや正社員として働き、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)の加入条件を満たした場合、夫側の「資格喪失証明書」がなくても、自分の勤務先の手続きだけで新しい健康保険証を作ることができます。
「夫が扶養を外してくれないから、保険証がなくて病院に行けない…」と困っているなら、社会保険に加入できる条件で仕事を探すことも、解決策のひとつになります。

3. 別居後、夫の同意なしで「児童手当」の受給者を妻に変更

児童手当は原則として「所得が高い方の親(多くは夫)」の口座に振り込まれます。
夫と別居してあなたが子どもを育てていても、何も手続きをしなければ、離婚が成立するまで夫の口座に振り込まれ続けます。

しかし、モラハラ・DVを理由に別居している場合、配暴センターの証明書を用いて市区町村に申請すれば、子どもと同居しているあなたへ受給者を変更することが可能です。

ただし、住民票が夫と同一世帯である場合は、あなたと子どもが、配偶者の健康保険の被扶養者となっていないことが必要です。

💡住民票の異動または世帯分離をした場合

別居後、住民票を異動(または世帯分離)した場合は、配暴センターの証明書がなくても、「離婚前提の別居であること」を示す資料を提出することで、児童手当の受給者を夫から妻へ変更することができます。

具体的には、役所の窓口に以下のような書類を提出して申請します。

・離婚協議申し入れに係る内容証明郵便の控え

・弁護士などが作成した離婚協議の進捗状況に関する報告書や委任契約書の写しなど

・家庭裁判所の離婚調停に関する書類(「調停期日呼出状」の写しや「事件係属証明書」など)

手続きが遅れると児童手当を受給できない月が発生してしまうため、別居後は速やかに役所の担当窓口(子育て支援課など)へ相談しましょう。

その他のサポート内容

上記の手続き面以外にも、配偶者暴力相談支援センターでは以下のようなサポートを受けられます。

・専門家によるカウンセリング:モラハラで傷ついた心のケアをしてくれます。

・安全確保・一時保護(シェルター):緊急性が高い場合、一時的に身を隠すための施設(原則2週間程度)を紹介・手配してくれます。

・自立支援・情報提供:就業に向けた支援や住居確保など、今後の生活に向けたアドバイスをもらえます。

・保護命令の申し立て支援:夫が接近してくる危険がある場合、裁判所へ「保護命令」を申し立てるための事前相談窓口としての役割を果たします。

村宮弁護士からのメッセージ

配偶者暴力相談支援センターや各種の特例制度は、あなたの「安全な避難」と「当面の生活基盤(行政手続)」を確保するための強い味方です。

一人で悩まず、使える制度をフル活用していきましょう。

ただし、公的機関は「夫との離婚交渉」をしてくれるわけではありません。

安全を確保した後は、婚姻費用、財産分与、親権、養育費、慰謝料の請求など、離婚条件の交渉を進める必要があります。

モラハラ夫は被害者を見下しているため、当事者同士ではまともな話し合いにならないことがほとんどです。

安全が確保できたら、あるいは別居と同時に、離婚・モラハラ問題に強い弁護士にご相談ください。

弁護士があなたの代理人となり、夫と直接連絡をとる苦痛をあじわうことなく適正な条件での離婚成立をサポートいたします。

まずは公的機関の手を借りて安全を確保し、モラハラ夫から解放された新しい人生への一歩を踏み出しましょう。

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